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こんにちは。株式会社久マーケティングチームの佐藤です。
最近、私たちのチームでは、BigQueryのデータを基にQuickSightを使って可視化(ビジュアライゼーション)する業務に取り組みました。この試みを通じて得られた成果やポイントを、これからECデータダッシュボードの導入を検討している皆さんにぜひ共有したいと思います。
手動集計では得られなかった「余白」を作る
私たちがこの取り組みを始めた理由は、大きく分けて2つあります。
1. 手動集計の工数削減
これまでのデータ集計業務では、GA4(Google Analytics 4)から数値データをCSV形式でダウンロードし、Excelで加工してレポートを作成する、という手順を踏んでいました。しかしこのプロセス、正直に言うと非常に手間がかかります。日々の業務時間の半分近くを、ダウンロードとExcelでの作業に費やしていたため、施策を考える時間が圧倒的に不足していました。数値を出す工程を手作業から解放すれば、本当に時間をかけるべき「考察」や「戦略立案」に集中できる――そんな思いから、データ処理部分を自動化しようと決意しました。
2. GA4では得られない「深い洞察」を追求
GA4はセッション数などの基本的な情報を把握するには便利なツールです。しかし、初回訪問者がどの参照元を経由したのかや、ユーザーが何回目の訪問で購入に至ったのかなど、より具体的な行動経路を追跡しようとすると足りない部分も多々あります。 これを解決するためにBigQueryを活用し、データをQuickSightに可視化することで、こうした詳細なユーザー行動データも一目で分かる状態を作ることにしました。
データを「洞察」に昇華させる2つのポイント
BigQueryやQuickSightを用いてデータを可視化する際、重要なのは「どのように伝えるか」です。ただ数字を並べただけでは意味がありません。以下の2つのポイントを意識することで、データに基づく意思決定を後押しするビジュアライゼーションを実現することができます。
ポイント1:目的に応じた「適切なグラフ形式」を選ぶ
データそのものがいくら価値あるものでも、正しい形式で可視化されなければ本来の意図が伝わりません。「何を伝えたいか」をしっかりと明確にし、それに即したグラフを選ぶことが重要です。
- 比較したい場合 → 棒グラフ、折れ線グラフ
(月ごとのセッション数や売上推移の比較などに。トレンド把握にも有効。) - 割合や構成比を示したい場合 → 積み上げ棒グラフ、ドーナツチャート
(ユーザー属性の割合や購入経路の構成比の把握に最適。)
たとえば「セッション数の推移」と「トランザクションごとのユーザー属性の割合」を示すなら、折れ線グラフや積み上げ棒グラフを利用することで、変化の背景やデータの全体像が明確になります。
ポイント2:ビジュアルは「シンプルに」、かつ「インパクト重視」
データ可視化の目的は、瞬間的に状況を理解できることです。そのため、過剰な情報やノイズは排除し、重要な要素だけにフォーカスする必要があります。
以下の点を意識して、見やすく、理解しやすいデザインを心がけました。
- 不要な要素を削減する
グリッド線、不要なラベル、凡例などは最小限に抑え、肝心な情報を強調します。 - 注目ポイントを際立たせる
アノテーション(注釈)や矢印、目立つキャプションなどを加え、読み手が意図的に「気づく」よう誘導します。 - 簡潔でわかりやすいデザイン
色使いはカラフルすぎず、要点を示す指標は見やすい濃い色で表示するなど、視認性を高める工夫を行います。
実践例:QuickSightで構築したダッシュボード
以下は、BigQueryのデータを基にQuickSightで構築したダッシュボードの例です。これらを1つの画面で一元管理することで、必要な情報を即座に把握する体制を整えました。
- 主要指標ダッシュボード
セッション数、PV/セッション、カート完遂率、CVRなど、主要KPIを月別にグラフ化し、トレンドの変化が一目で分かる形に。 - 参照元メディア分析
今月の参照元メディアごとのセッション数や先月比、売上への影響度、施策がどの程度効果を発揮したのかを測定。 - ランディングページ分析
最もアクセスが多いランディングページや、最も売上を生んだページを可視化し、トラフィックの質を評価。 - 購入までのユーザー遷移
閲覧ページの推移や、ユーザーがどのサイトを経由して購入に至ったかを把握し、コンバージョン導線の見直しに役立てました。
まとめ:データ活用の「最後の一歩」を極める
どれだけ優れたデータを持っていたとしても、それを活用し「伝える」ことができなければ、その価値は半減してしまいます。今回の業務を通じて学んだことは、データをただの数字の羅列で終わらせず、組織を動かす"説得力あるストーリー"へと昇華することの大切さです。 BigQueryのメリットを最大限引き出しつつ、QuickSightを活用したビジュアライゼーションの工夫を取り入れることで、日々の集計負担から解放され、意思決定に集中できる環境が生まれます。これにより、私たちの業務効率化、そしてクライアント様への価値提供がさらに進化しました。
これからダッシュボードサービスの導入を検討される皆さんにも、この実践の要点が少しでも参考になれば幸いです!